9.ガラスの熱割れ

ガラスは熱膨張の差による力がガラスの強度を超えた場合、突然ひび割れが発生することがあります。これを熱割れといいます。

<熱割れの特徴>

ガラスは熱によって膨張する性質を持っているため、直接日光が当たっている部分と、サッシ内部に隠れて日光が当たっていない部分の温度の違いにより、ガラスに熱膨張の差が生じます。ガラスの熱割れが発生しやすいのは、冬期の晴れた日の午前中になります。建物の東面や南面への日射量が大きくなる一方、サッシ周辺の温度は低下しており、高音部と低音部の温度差が広がり、熱応力(熱膨張の差)も大きくなるためです。ガラスの熱割れは、下のイラストのように、ガラスの端部(サッシ内部に隠れているエッジ部分)から始まり、まず直角に割れ、それから蛇行していることが特徴です。熱割れは、外気温が低い時期に、ガラスに日光が当たるとまれに発生することがありますが、立地条件や季節などの違いにより、起きる不可抗力現象であり、サッシの構造上熱割れを完全に防ぐことはできません。

                                   

<網入板ガラスの熱割れについて>

ガラスの内部に金網が入っているガラスを「網入板ガラス」といいます。この網入板ガスは、一般の板ガラスと比較して、ガラスが割れたときの脱落(飛散)防止に優れているため、防火地域のサッシや天窓に多く使用されています。
その反面、一般の板ガラスに比べ網入板ガラスは熱割れが発生しやすくなります。もともと金網が封入されているため、金網とガラスの熱膨張の差があることと、ガラスの切断時にガラスの切り口に傷が発生しやすく、また均一な切断面にできず、一般の板ガラスに比べてガラス周辺部の強度がおよそ半分しかないためです。

<熱割れの発生を抑える対処方法>

ガラス表面の温度が高くならないように配慮することで熱割れの発生を抑えることができます。
 ・庇や外付けスクリーンを付けガラスに日光を当てない
 ・冷暖房の風を直接ガラスに当てない
 ・シャッターや雨戸を半開きの状態で使用しない
 ・ガラス面にカーテンやブラインドを密着させない
 ・ガラス面にポスター等の紙や、熱反射フィルムを貼ったり、ペンキを塗ったりしない
ガラスにひび割れが発生したら、すみやかに建築会社様、工務店様、販売店様にご相談ください。